産業春秋/風が吹けば桶屋、生成AIが拡大すれば?

(2024/5/17 05:00)

「昔は、海外で紅茶の葉が不作になると、アルミ会社の株価が上がるという話があったんだ」。昭和の半ばまで日本は外貨を稼ぐため紅茶を生産していた。輸出する茶箱の内側には品質保持用のアルミニウム箔が張られる。だから需要が見込まれ株価が上がる。“風が吹けば桶屋が儲かる”のような話だ。

平成の初め頃に聞いた昔話だが最近、似た話を耳にした。今後生成人工知能(AI)が爆発的に拡大すると銅の需要が大きく増えるという。生成AIが拡大すると通信量が飛躍的に増え、電力不足になる。発電所とともに送電網が増強される。その電線に使われるのが銅、という構図だ。

とはいえ、そう都合良く結びつくとは限らない。電線にはアルミ線もある。通信は電気だけでなく光も活用されている。銅電線への依存度は下がるかもしれない。

生成AIは世界を便利にするだけでなく、幅広く生産活動を発展させるのは確かだ。ただ大変革が起きるので、常にキャッチアップが欠かせない。

世界で資源争奪戦が繰り広げられる中で銅鉱石の確保や、国内の銅製錬・電線生産の対応力が問われてくる。産業界を挙げての生成AIシフトが必要だ。でないと、風が吹いても儲からない。

(2024/5/17 05:00)

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