(2024/5/28 12:00)
Shippio(シッピオ、東京都港区、佐藤孝徳社長)は、多様性をサービスの開発力につなげている。同社は従来ファクスや電話が主体だった国際物流や貿易を手配するフォワーディング(利用運送)業務のデジタル変革(DX)に取り組むスタートアップで、技術人材の採用は競争力の源泉だ。現在外国籍従業員の割合は約2割で、10カ国の国籍の人たちが働く。多様な人が働きやすいコミュニケーション方法にこだわる。
「エンジニア採用も人材紹介会社経由ではなく、ホームページや外国籍エンジニア向け求人サイトを通じた自己応募で計画通り採用できている」。人事部門を統括する伊達雄介バイスプレジデント(VP)は多様性の取り組みの手応えを語る。
エンジニアやプロダクト開発を担当する部門は外国籍従業員の割合が約5割。公用語に英語を使っており、日本で働きたい外国籍エンジニアにとって魅力となっている。福利厚生として年に最大1カ月間、母国でのリモートワークも可能だ。
カナダ出身のエンジニアは、母国で現地時間で15時から24時まで働いた。「仕事の前に家族と昼食を楽しめたのが良かった。全て順調だった」という。
こうしたチームづくりはエンジニアの誇りになっており、チームを社外にアピールする活動も自分たちで展開している。メディアプラットフォーム「note」での情報発信やテクノロジー関連イベントを行い、採用につながっている。
日本人も多様な産業の経験者を採用する。「問題を乗り越えられる会社の強さや個々の人材の強さを引き出すために、多様性は重要だ」(伊達VP)。
多様な人材が働くため、あえて出社日を設けている。エンジニアやプロダクト開発担当は週に1日、皆同じ曜日に出社する。営業や管理部門は週3日の出社で、エンジニアの出社日と合わせる。また月に1度は全員が集まり、各チームの今後の計画を発表し、軽食やお酒を飲みながら話す場も設けている。
ドイツ出身のエンジニアは「リラックスした集まりで、さまざまな部門の人と話せる。信頼を築き、チームとして強いつながりを形成できる」と話す。
伊達VPは、「顔を合わせれば、意見などの細かな食い違いをつぶせる。創造性を発揮するのも対面がいい。多様なだけでは組織は崩壊する」と話す。
多様性のある組織だからこそ同じ価値観を持ち、言葉を尽くして伝える努力や受け取る努力が重要だ。
(2024/5/28 12:00)
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