パナソニック津工場、配線器具のマザー工場 高品質追求 金型から内製

(2024/6/19 12:00)

パナソニックのスイッチやコンセントなど配線器具のマザー工場となっている津工場(津市)。井田瑞人工場長は「高付加価値製品の開発と生産技術・技能の展開が津工場の役割」と話す。国内向け製品の生産にとどまらず、工法の開発やIoT(モノのインターネット)活用など現場の革新につながる取り組みに注力し、そのノウハウは海外への水平展開を進める。世界規模で生産を支える拠点だ。

  • 津工場の配線器具の生産ライン。同器具のマザー工場として世界規模で生産を支える

津工場は約10万平方㍍の敷地に延べ床面積約9万5000平方㍍の建屋を構え、関連会社も含め約1万種類に上る製品を生産。約1800人が勤務する。製造工程にIoTシステムの実装を進めており、生産計画や部品・製品の品質、設備の稼働状況などをデータ管理。現状分析から改善につなげ、生産の効率化やレベル向上を実現している。

井田工場長が大きな特徴として挙げるのが「金型から部品作製、組み立てまで一貫して内製化している」点。部品を作るための金型から工場内で内製することで高品質を追求している。IoT導入の一環として金型保全システムがあり、過去の情報やノウハウを蓄積。金型の状態についての情報伝達にも活用している。

人材育成では「津工場コア人材育成プログラム」がある。事業でのニーズを踏まえ金型技能士と設備技能士の2コースを設け、入社1、2年目の社員を実践的に育成している。

  • 金型から内製化し高品質を実現

海外拠点の人材育成の場ともなっており、インドやトルコ、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾からの受け入れ実績がある。世界各拠点の金型設計者や設備保全者、製造担当者を育成し、送り出してきた。人材だけでなく新製品開発や生産体制構築のノウハウも世界10カ所の配線器具製造拠点に展開してきた。

海外の生産体制構築や増強の際には津工場から現地へ出向いていた。だが、コロナ禍で海外出張が困難な時期があった。そこで「オンラインを活用した遠隔立ち上げを始めた」(井田工場長)。事前に海外工場に動画マニュアルと資料を配布し、現地社員が設備を整える。津工場からはネットワークカメラと即時翻訳ツールを活用し、海外工場の作業の様子を映像で見守りながら助言を行う。

適切な助言のため準備も欠かさない。「新入社員と模擬立ち上げを行い、知識が少ない人が必要な指示や助言を事前学習しておく」(同)。あらゆる環境下でもマザー工場の役割を追求している。

(2024/6/19 12:00)

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