(2024/6/25 12:00)
管理職登用は「自分ごと」
安川電機はマネジメント層に女性を意識的に登用するなど女性のキャリアアップ推進に注力する。女性管理職の比率向上に向けてKPI(重要業績評価指標)も設定するが、数字を追うことよりも女性自身がキャリアアップしたいと思えるような意識改革を重視する。毎月社員に実施する記名式のアンケートや研修プログラムを活用。会社側も処遇の改善など従来のやり方を見直すことで、働きやすい環境の実現を目指す。
安川電機では2010年ごろから組織の多様性推進活動に本格的に取り組み始めた。当初は外部から女性を登用することで女性活躍推進を図ろうとしたが、新卒入社の生え抜き社員には違和感が残った。林田歩上席執行役員は「女性活躍の旗振り役であることは認識しているが、次元が違うように見えるなど社員一人ひとりが自分ごととして腹落ちしていなかった」と当時を振り返る。
そのような中、社員の意識調査に関する記名式のアンケートを16年から毎月実施している。内容は、会社の上位方針に関する固定アンケートに加え、毎月内容を変えるアンケートの2種類を用意。社員が役員に直接問い合わせることもでき、役員は1週間以内に回答する仕組みになっている。女性のキャリアアップ推進にもこの意識調査を活用しながら、現場の声を把握してきた。林田上席執行役員は「どうすれば意識改革につながるか、アンケートを基に対策を講じた」と語る。
例えば「仕事に対するやりがいは何か」という質問に対して、役割を明確にする必要性があることが判明。トップダウンで意識を変えさせようとするのではなく、役割を明確にして適切な処遇で評価を実施するようにやり方を変えた。そうすることで、モチベーションやキャリアアップにもつながるという好循環が生まれている。
安川電機では、女性管理職比率の向上に向けて、25年度に21年度期初比で2倍というKPIを掲げるが、23年度に前倒しで達成した。また24年度には生え抜きで初となる女性執行役員も誕生した。新卒採用では約80人のうち女性を約2割採用するというKPIを設定する。
独自のアンケートで女性社員の意識をとらえながら、啓発活動を推進。研修などを通じて徐々に意識に変化があらわれた。林田上席執行役員は「意識改革には10年はかかる」と強調する。男性社員の理解も高めるなど社内全体で組織の多様性に向けた意識改革を進める。
(2024/6/25 12:00)
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