(2024/6/25 12:00)
創業1889年の名門工作機械メーカー、池貝(茨城県行方市、中西章社長)の林崎芳博顧問は50年以上樹脂の押出機に携わってきた。76歳の今も、後進の育成に取り組む。仕事へのこだわりや苦労を聞いた。
―これまでのキャリアを教えてください。
「八戸工業高等専門学校で化学の基礎を学び入社した。2年目から、まだ国内で事例の少なかった樹脂の押出機開発を担当し、押し出すスクリューや吐出口の形状を工夫して75年に2軸押出機『PCM』を主担当として生み出した。現在までに約1500台を納めた。90年代には、2軸と単軸の押出機を組み合わせ、樹脂の混練性と熱安定性を両立した『SKPCM』も開発した」
―現在は後進を指導していますね。
「機械や樹脂試験の担当者に助言している。樹脂の押出検証などで計1000社、1万種類以上のスクリューを樹脂に合わせて組み替えてきた経験がある。一部は書籍やセミナーを通じて他社にも技術を伝えている。もともと研究開発は大好きだ。要望があれば今も顧客に技術提案も続けている」。
―技術を教える上で心がけていることは。
「なるべく見守りに徹している。担当者に経験を積ませることが大切だ。これまで30人以上を育ててきた。最近は教え子から新しいアイデアが出てくることも多い。育ってきた証拠だと感じている」
―“現物主義”を重視しています。
「デジタル化が進んだ現代では、樹脂と機械の数値から押出をパソコン上である程度シミュレーションできるが、実際には期待した結果が得られないことも多い。まずは挑戦し、樹脂の溶けた触感やにおいなど五感を使って学んでほしい。視覚化や言語化できないノウハウが、経験になるはずだ」
(2024/6/25 12:00)
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