(2024/7/17 12:00)
深絞りや難加工材の精密プレス加工を得意とする樋口製作所(岐阜県各務原市)は、デジタル変革(DX)の推進を2018年に本格化した。システムと現場をつなぐ人材「ブリッジエンジニア(BE)」を核に自前でシステムも開発。22年に中堅・中小企業の優良事例として経済産業省の「DXセレクション」に選ばれた。樋口徳室(なりいえ)社長に取り組みの内容や成果を聞いた。
―なぜDX推進を。
「主要顧客の自動車業界は大変革期。市場が海外に移る中、技術の進化は求められる。DXで工場をスマート化し、生産と品質を劇的に改善し、専門性を深掘りする。システムも自社で開発し知見を蓄積する」
―活動と成果は。
「検査などのシステム導入を経て全社データ共有システム『HDIP』を20年に構築。作業指示や作業者スキル、点検・検査確認など6条件が整わないとプレス機が動かない照合システム『チェックマスター』も21年に稼働した。社内の不具合が4割減り、生産性が2割向上した」
―人材育成策は。
「ベテラン個々のノウハウをデータ化し人工知能(AI)で検索できるシステム『ホークアイ』も構築した。スキル管理を意欲向上にもつなげ、若手を早く一人前にする。金属加工eラーニング『ヒグトレ』では200本の教材も作成した」
―自社開発システムの外販も始めました。
「ヒグトレはユーザーがいる。販売子会社を設立しチェックマスターやホークアイはPRを始め、引き合いもある。ただしシステム会社を目指すわけではない。本業のため社外との連携で当社のデジタル技術を高める」
―社員の成長と社内変革の現状は。
「BEは当初の4人が10人になった。現場の意識も大きく変化した。現場が独自に課題を見つけ『こんなことがしたい』とBEに相談しながら自主的にDXに取り組むようになった」
―目指す将来像は。
「デジタル化や自動車業界の変革があっても、プレス加工や金型製作などの専門性は必要とされている。DXを活用して若手を育て、ベテランが退職しても独自技術が途絶えず、さらに本業の力を高めていけるよう会社を変えていきたい」
(2024/7/17 12:00)
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