産業春秋／トランプ氏支持で親中ロのハンガリー首相

欧州連合（ＥＵ）理事会の議長国・ハンガリーのオルバン首相。中ロ寄りで知られ、ＥＵのウクライナ支援に反対する。米大統領選ではトランプ氏の再選を支持する人物だ。そのオルバン氏にＥＵの批判が集まる。

オルバン氏は議長国の地位を利用し、７月にウクライナ情勢で独善的な外交に動いた。ゼレンスキー大統領、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、さらに米国のトランプ前大統領と相次ぎ会談した。

ウクライナ支援に反対するオルバン氏はゼレンスキー大統領に対し、ロシア軍の撤退を伴わない停戦を促した。同大統領は、現時点での停戦は「ロシアを利するだけ」とし、別の会見では「ハンガリーは仲介役になれない」と語った。

オルバン氏の訪ロはウクライナやＥＵに事前連絡がなかった。プーチン大統領は、併合した４州からのウクライナ軍撤退が停戦条件になると主張。両氏は握手を交わしていた。ロシアへの圧力を強めるＥＵの結束を乱す行為だ。

オルバン氏はウクライナ支援に懐疑的なトランプ氏の再選を願う。暗殺未遂事件にひるまないトランプ氏は強い指導者として支持を高め、再選となるのか。ゼレンスキー大統領ならずとも気がかりだ。