(2024/7/17 18:00)
【福岡】みずほ銀行は台湾積体電路製造(TSMC)の進出など熊本県での半導体製造業の集積を受け、製造工程で発生するプラスチック廃棄物を再資源化する体制を年内にも構築する。同行主導で化学メーカーや関連事業者を結びつけ、サーキュラーエコノミー(循環経済)のサプライチェーン(供給網)を築く。自治体を含めたコンソーシアム化も視野に入れた構想で、九州でモデル化し国内での水平展開も目指す。
構想ではTSMCの生産子会社・JASM(熊本県菊陽町)を念頭に、生産工程で発生するフィルムやテープなど廃プラスチックをリサイクルする。焼却し熱源に用いる「サーマルリサイクル」から転換し、温室効果ガス(GHG)低減につなげる。
構成企業は九州の事業者を中心とする考えで、みずほ銀が強みとする各県に持つ支店網を生かす。地元自治体にも呼びかけて、協働するほか地域金融機関との連携も想定する。
JASMは第1工場で年内の量産開始を計画する。第2工場も隣接地に決まるなど、今後の生産量の増大が見込まれる。みずほ銀は第1工場の本格稼働に合わせて再資源化の活動をスタートすることを目指し、参画企業の座組みを進める。
JASM以外にも熊本や九州での取り組みの広がりに期待する。加えて、北海道や東北地域でも大規模な半導体工場の立地が決まっていることから、九州で構築した資源循環モデルを全国に広げることで地域経済や環境に貢献できるとみる。
インタビュー
モノづくり“静脈”も大事
みずほ銀行常務執行役員・倉下清貴氏
みずほ銀行で福岡市に駐在し九州・沖縄・中四国を担当する倉下清貴常務執行役員エリア長(西日本エリア)に今後の取り組みなどについて聞いた。
ー九州の市場をどう見ますか。
「安定的な電力供給と豊富な水資源があり、まさにTSMCが進出する理由でもある。熊本には国内企業も集まり、大きなうねりを生んでいる。産業や雇用の創出、まちづくりが進み、多様なニーズが出るだろう。特にまちづくりでは情報や機能を提供できる」
ー半導体関連分野における支援は。
「モノづくりの“動脈”だけでなく、サステナビリティー(持続可能性)の面で廃棄物を循環させる“静脈”も大事だ。TSMCは熊本で排水の循環に取り組むと聞く。当行は製造過程で発生するフィルムやテープの再資源化に向けたコンソーシアム設立の構想を持つ。このほかモノづくりに絡む物流などの課題解決も九州で必要になるはずだ」
ー2日に福岡市とスタートアップ支援で連携協定を結びました。
「福岡市は再開発や起業支援に力を入れるなどポテンシャルを感じる。当行は福岡にスタートアップ専任の営業ラインを擁し、同市の起業支援施設に銀行として唯一の常駐者を派遣している。両者で歩調が合っており、協定を通じてさらに高い成長をサポートする」
ー地域金融機関との住み分けは。
「地元をよく知るのは地域金融機関だ。当行の一番のスタンスは同じパイを奪い合わないこと。メガバンクとしてグローバルや幅広い分野の情報を提供できる。一緒に地域課題を解決することが大事だ」
(2024/7/17 18:00)
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