(2024/8/2 05:00)
1日の東京外国為替市場の円相場は一時、1ドル=148円台まで円高が進んだ。7月31日の日米金融当局の首脳発言が円買いを誘っている。米国による9月の「利下げ」、日銀によるさらなる「利上げ」の可能性が示唆され、市場は日米金利差の縮小を強く意識している。歴史的な円安が修正局面を迎え、賃上げを起点とした経済の好循環が回り始めると期待したい。
ただ、日米の金融政策の転換だけで、どこまで円安が是正されるかは予断を許さない。日本の“稼ぐ力”を引き上げなければ、円安を根本的に是正するのは難しい。米大統領選の行方も気がかりだ。今後の為替相場には期待しつつも留意したい。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7月31日の会見で、9月に「利下げ」を検討する可能性に言及した。同日に「利上げ」を決めた日銀の植田和男総裁も、経済・物価動向次第で引き続き利上げに動く可能性を示した。米FRBが年内に2回の利下げに踏み切るとの市場の見方もあり、円安是正がさらに進むと期待したい。
両首脳の発言を受け、7月30日の東京市場で1ドル=154円台だった円相場が、1日はこれより6円程度も円高に傾いた。ただ日銀によると、2024年度の全規模・全産業の想定為替レートは同144円台で、足元の相場はなお円安水準にある。円買いの基調がどこまで継続するかが、当面の焦点となる。
米FRBは7月31日の会合で政策金利を5・25―5・50%に据え置いた。日銀が同日の会合で決めた政策金利は0・25%程度。日米の政策金利差は5%以上あり、この差を縮めるには時間がかかる。トランプ氏が米大統領に再選されたら、中国への高関税や、移民制限による人手不足により米国のインフレが再燃しかねない。米FRBが利上げに向かい、過度な円安に戻る事態にも警戒する必要がある。
日本商工会議所の調査では、中小企業の7割が望ましい為替レートを「1ドル=110円以上135円未満」と回答した。日本は円の購買力を高める成長投資を、粘り強く継続したい。
(2024/8/2 05:00)
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