インタビュー/UPDATER取締役・梶山喜規氏 再生エネ、作られ方 見えるように

(2024/9/12 12:00)

―販売する電気の調達先である再生可能エネルギー発電所が1000件を突破しました。発電所と個別に交渉して調達先になってもらうのは、苦労が多いのでは。

「2016年の事業開始当初、実績がないので苦労したと聞いている。市民出資の発電所から理解を得ながら仕入れ先を増やした。現在でも大々的に募集していない。効果的なのは口コミ。我々のコンセプトである『顔の見える電力』に共感した方が発電所を紹介してくれている」

―森林破壊や住民トラブルを抱えた再生エネ事業が問題化しています。調達基準はありますか。

「調達方針として、地域の自然環境に大きな影響を与えていない、住民との合意形成があるなど6点の基準を掲げている。発電所の情報を当社のウェブサイトに掲載することも基準の一つ。誰が、どうやって作った電気なのかを見える形にしたいからだ。そして地域振興や環境教育、福祉への貢献などの付加価値を見て消費者に選んでほしい」

―再生エネ由来の電気を利用する企業が増えています。需要を満たすため、調達も急ピッチで増やす必要があるのでは。

「当社の電気は、卸電力市場から調達した電気に証書を付けた“実質再生エネ”ではない。電気も再生エネ発電所から仕入れている。需要の3倍の発電量を確保する必要があり、発電の変動が少ない水力やバイオマス発電も増やしている。23年度、販売が5億キロワット時を超えた。担当5人で、半年先を見通して発電所の確保に動いている」

  • 調達先のあいがも発電所(千葉県袖ケ浦市)

―再生エネ調達における課題は。

「消費者に分かりにくい規制やルールだろう。ウクライナ危機で天然ガス価格が高騰して電気の卸価格が急騰し、再生エネ電気も値上がりした。なぜ、燃料を使わない再生エネが連動するのか、契約者への説明に苦労した。自分たちが消費するモノを選ぶ行為は投票と同じ。消費者が良い発電所を選ぶことで、価値を持つ再生エネが増える社会を作りたい。そのために、電気も分かりやすいものであってほしい」

(2024/9/12 12:00)

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