インタビュー/会津工場社長・鈴木直記氏 Hプロセス工法で高精度鋳物量産

(2024/11/27 12:00)

会津工場(福島県只見町、鈴木直記社長)は、自動車のエンジン部品の鋳造を主に手がけている。高精度の鋳物を量産できる独自工法「Hプロセス」を確立。加工品の薄肉・軽量化や複数部品の一体化に成功し、トヨタ自動車の「レクサス」や日産自動車の「インフィニティ」など高級車ブランドに採用されている。鈴木社長に会社の強みや電気自動車(EV)シフトへの対応、今後の展望などを聞いた。

―英国で開発されたHプロセス工法を取り入れ、事業を拡大しました。

「非常に効率良く良品ができるが、この工法は非常に難しい。当初は作ったもののうち8割が不良品だった。改良を加え『これはいける』と確信したのは、着手してから10年近くたった1990年代だった」

―同工法の特徴は。

「鋳型を水平に複数個連結して鋳造する工法で、一度に複数の鋳物を作れる。シェルモールドを採用するなど独自の工夫を重ね、生砂型鋳造では不可能だった高精度のダクタイル鋳鉄鋳物部品の製造を可能にした。Hプロセス工法を使えば、従来の鋳物寸法公差プラスマイナス1・5ミリ―2ミリメートルに対してプラスマイナス0・25ミリメートルを実現できる。素材重量と加工工数の削減によって大幅なコストダウンも可能になった」

―Hプロセス工法の技術を確立するため金型製作を内製化しました。鋳造と金型の各部門で働く社員同士の情報交流も進めています。

「金型のメンテナンス時には鋳造のメンバーにも参加してもらっている。金型のメンテナンスに関わることで金型について具体的なやりとりができる。鋳物のメンバーは金型の構造や特性について良い勉強になるだろう」

―事業領域の拡大が今後の課題です。

「遅かれ早かれEVのシェアは高まっていくとみている。その中でロボットや半導体関係の部品など(異業種で)当社の技術を生かせるものはないか調査している」

―将来の展望は。

「高精度鋳物ができるHプロセス工法は今後、世界標準になると思っている。究極の目標として、多くの利点がある同工法を他の中小企業が導入するお手伝いをしたい。それを実現するには社員の技術の底上げが欠かせない」

(2024/11/27 12:00)

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