光精機製作所、塗装内製化で一貫生産体制 工作機械部品 短納期に磨き

(2024/11/27 12:00)

光精機製作所(東京都瑞穂町、安島和子社長)は、機械・板金加工などを得意とし、産業用ロボットや各種工作機械向け部品製造を手がける。同社は7億円を投じ、瑞穂工場(同町)近隣に塗装工場を新設し、12月をめどに稼働する。自社工場の新設により、塗装工程を内製化。都内で一貫生産体制を構築し、強みとしている短納期に磨きをかける。

  • 塗装ラインに導入したレシプロケーター

塗装工場は瑞穂工場から200―300メートル離れた同地区に新設。敷地面積は約2740平方メートル、工場は一部2階建てで、延べ床面積約1390平方メートル。稼働当初は溶剤塗装を行い、2025年6月から粉体塗装も加える予定だ。人員は当面、10人で始動、最終的には15人体制を見据える。

光精機製作所の既存工場は瑞穂工場と青梅工場(東京都青梅市)。瑞穂工場はマシニングセンター(MC)や数値制御(NC)旋盤などを備え、主に機械加工を担う。同工場は月当たり500品種以上の部品生産能力を持つ。青梅工場では板金・溶接をメーンに手がける。

塗装・組み立ては現在、都外にあるグループ企業まで輸送して行うため、納入先が都内に近い場合、新工場で対応すれば輸送にかかる時間・コストを抑えられる。安島英夫会長は「生産効率化に加え、塗装・組み立て工程を多拠点に分散することで、事業継続計画(BCP)対策になる」と工場新設の利点を説く。

  • 山型乾燥炉は省エネ性能が高い

新工場は自動化に注力した。塗装ラインには4本のスプレーガンを備えたレシプロケーターを2台導入。安島会長は「手動のスプレーガンに比べ、生産性は4倍以上になる」という。同装置は塗料ロス低減に貢献する「マルチフォトセンサー」や「カラーチェンジバルブ」といった段取り時間を短縮できる機能を搭載している。

塗装ラインは吸排気装置付きの「アウターブース」で囲い、ホコリや塵の付着を防ぐ。熱を逃がさず省エネルギー性能の高い山型乾燥炉も採用した。さらに、塗装ラインにかからない大物・重量部品向けには脱脂・洗浄・リン酸鉄被膜などが同時にできる洗浄装置や金庫型乾燥炉を導入した。

今回の工場新設で、塗装の高品質化と顧客からの増産要請に応える体制を構築できた。安島会長は「今後は人材確保が課題の一つ。外国人採用は数年前から取り組んできた。誰もが使いやすい設備と自動化は必須だ。絶えず合理化を進め、顧客の要望に応えていきたい」と強調する。

(2024/11/27 12:00)

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