(2024/12/19 12:00)
川上鉄工所は自動車や農業機械、建設機械向け部品の熱間鍛造を手がける。2018年の西日本豪雨で本社工場が2メートルの高さまで浸水。隣のアルミニウムリサイクル工場の電気炉が水蒸気爆発を起こし、建屋が吹き飛ぶ被害を受けた。「信じられない光景だった」(川上朋弘社長)。
取引先メーカーからの支援は迅速だった。豪雨から3日後の7月9日に支援スタッフが到着し、フォークリフトやトレーラーを即座に手配。最大約100人体制で復旧作業を進めた。
19年3月には最大の3トンハンマーが先陣を切って再稼働。1年後に全面稼働し、「支援してくれた方々には、感謝しかない」と川上社長。
恩返しとばかりに取り組んだ事業継続計画(BCP)は24年に岡山県の認定を得た。
BCPの柱が災害時の代替生産先の確保。岡山県から離れたその熱間鍛造メーカーは、川上鉄工所が操業を中止していた時に、振り替え生産を受けた会社だった。その社長が「復興した会社を見てみたい」と川上鉄工所を来訪し、23年から相互に社員を派遣して技術研修を実施した。
両社は鍛造金型の取り付け方法を共通化することも検討中だ。鍛造メーカーにとって、この部分はノウハウの塊。鍛造品の転注が難しい一因でもあり、業界では常識破り。社員の反対意見もある。ただ川上社長は「また大雨で工場が止まるのは目に見えている。その時に代替生産しやすくすることこそが恩返し。自分のことばかり考えている場合ではない」と話す。一部の部品で共通化する考えだ。
(2024/12/19 12:00)
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