[ その他 ]
(2016/2/25 05:00)
大学の国際化推進が花盛り。だが世界的な存在感が下がり気味な上に、非英語圏の日本に研究者を呼び寄せるのは簡単ではない。多額の予算でもあれば興味を引けるが、そんな方法しかないのだろうか▼東京工業大学の森川淳子教授の研究室にドイツ、フランス、ロシア、メキシコ出身の教授や博士が研究交流で訪れた。迎える側の研究室の助教はイタリア人。日本の大学とは思えないほどの多様性だ▼材料の熱特性分析を専門とする森川さんの手法は独自のもの。競争相手のはずの独ロストック大学の教授は「異なる2手法の組み合わせで、これまで分からなかったことが明らかになる」と両者が連携する意義を強調する▼この交流の参加メンバー全員が非英語圏育ちというのは、興味深い事実だ。科学技術のために努力して習得した英語で議論する。理工系には英会話が苦手な学生が少なくないが「仕事の仲間がこれほど広がるのだから、なんとしてもがんばって」と森川さん▼世界をリードする米国の大学は日本人の留学先として人気だが、層の厚い英語圏の研究に取り込まれてしまいがち。非英語圏の研究者同士なら、独自技術を核に対等に相互刺激ができる。国際化には、そんなやり方もある。
(2016/2/25 05:00)