[ オピニオン ]
(2016/4/14 05:00)
主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)が14、15の両日、米ワシントンで開かれる。世界経済の減速懸念はくすぶるものの、2カ月前に中国・上海で開いた前回会議と比べれば乗り越えるべきハードルは低くなった。人民元と原油がそろって暴落する二つのリスクに緩和の兆しがみられる。
今回のG20ではパナマの文書流出を受けた国際的な租税回避・脱税の防止についても協議する見通し。ただ前回打ち出した財政・金融・構造改革の政策協調の議論を進展させ、国際金融市場に有効なメッセージを発することに重きを置くべきだ。
年明けに国際金融市場の混乱を招いた要因の一つが中国経済の減速懸念だった。ただ中国の株は前回G20以降、上昇に向かい、2月末まで4カ月連続で減り続けた外貨準備高も3月には増加に転じた。3月の全国人民代表大会(全人代)では、過剰生産設備の解消など構造改革を進めることも決めている。
もう一つの懸案である原油も、一時1バレル=20ドル台まで急落した価格が同40ドル台に回復。2月にサウジアラビアなど産油4カ国が1月の産出量維持で合意した。また今週末には石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC諸国が増産凍結に向けて協議する。原油の需給バランス改善は世界経済にとってプラス要因となる。
日本にとっての課題は、最近の行き過ぎた円高の是正だ。先のG20では、自国の輸出競争力強化を狙った”通貨安競争“に警鐘を鳴らした。現状では日本が為替介入に動けず、利上げペースを落とす米国との金利差は拡大しないとの観測から、円買い圧力が収まらない。日銀による追加の金融緩和も、先のマイナス金利導入をみても分かるように大きな円安誘導効果は期待しにくい。
世界経済の失速を回避しつつ、国際金融市場を安定させるのが日本を含む先進諸国の責務である。今回のワシントンG20を手がかりに、5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)で先進国が有効な内需拡大策に道筋をつけてもらいたい。
(2016/4/14 05:00)
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