[ オピニオン ]
(2016/6/30 05:00)
「可能な限りリスクはとらない。いわば“巣ごもり戦略”ですよ」。旧知の地方銀行幹部は、こう苦笑いする。日銀が導入したマイナス金利政策で、身動きがとれない現状が続いているという。
全国地方銀行協会によると、加盟61行の2017年3月期の当期利益見通しは合計で前期比17・7%減の7343億円。最高益を計上した前期から一転し、通期でマイナス金利の逆風が吹く。
地銀協会長の中西勝則さんは、目下の経営環境を「厳しい」と繰り返しながらも、マイナス金利に対する是非の言明は避ける。一方で地銀の課題として地方創生を挙げ「全行に共通した課題。推進の時にきている」と意欲を示す。
地銀は人口減少、資金需要の乏しさ、運用難の“三重苦”に悩みながらも地方創生のリード役を期待されている。マイナス金利で“四重苦”になった今、守りの姿勢を強めれば地域産業の振興はままならない。
冒頭の地銀幹部は、トップから「コストを徹底的に削れ」と厳命されているという。縮小均衡を覚悟して逆風をやり過ごそうというわけ。しかし出口がいつになるかは不透明。2月に導入したマイナス金利も春が過ぎ、梅雨明けも近い。そろそろ巣立ちの準備も必要ではないか。
(2016/6/30 05:00)