[ オピニオン ]
(2016/11/2 05:00)
10月の終盤から、列島は急に冷え込んできた。北海道からはすでに氷点下の便りが聞かれるが、プロ野球日本シリーズでの日本ハムファイターズの優勝が、きっとその寒さを和らげていることだろう。
序盤優勢から一気に逆転された広島にも、まだ激戦の熱気が街にただよっているかのようだ。いたるところで『それ行けカープ』の応援歌が流れ、シリーズ敗退を惜しむセールが続いている。
勝っても負けても商売につなげるたくましさ。25年ぶりのリーグ優勝に湧き、32年ぶりの日本一を目指そうという広島ファンの応援の心が最後にくじかれて、やり場がない思いが残る。
平和記念公園に隣接した旧市民球場に代わり、広島駅の貨物ヤード跡に2009年にオープンした「マツダスタジアム」が本拠地になって迎えた初のシリーズ。“熱狂的”で知られるカープファンがファイターズに敗れた後も選手に拍手を送る姿は、両者がフェアに戦う姿を間近で見たが故の感動からに違いない。
ともあれ今シーズン、地元はいい夢を見せてもらった。5日には、1975年のリーグ初優勝以来というパレードが平和大通りをゆく。日本一には届かなかったが、暖かい感謝の拍手が選手を迎えるはずだ。
(2016/11/2 05:00)