[ オピニオン ]
(2017/1/10 05:00)
年末に届いた1通のはがき。他紙で主に社会部畑を歩んだ知人からで、二つの報告があった。一つは「還暦を迎え生活をシンプルかつ縮小したく、年賀状を出さないことに決めました」。淡々としたこの人らしいと感じた。
思わずうなったのが二つ目の報告。「(古巣に)再雇用してもらい、年明けから新聞記者に復帰します」。この2、3年の年賀状では、ゲームにはまっているとか、夫人と長旅をしたとか“平穏な日常”がしたためられていた。
支局長や本社の管理職、関係会社役員などを務めながら、かねて現場の記者に戻りたいと口にしていた。新たな勤務地には、母親がひとり暮らししている。介護を視野に入れた決断でもあるようだ。「まずは1月から本社でリハビリに努めます」のフレーズに明るさが漂う。
既成概念や価値観の見直しが進んでいる。代表格が「年齢」。選挙権年齢が18歳以上になったかと思えば、今度は「高齢者」の定義を75歳以上に引き上げてはと日本老年学会などが提言した。
「医療の進歩や生活環境の改善で、身体の働きや知的能力が若返っている」という。年金支給や医療費の先行きが気がかりだが、やりがいのある仕事が続けられる社会づくりならば歓迎したい。
(2017/1/10 05:00)