[ オピニオン ]
(2017/4/12 05:00)
これは「二度あることは三度ある」なのか、「三度目の正直」なのか。監査法人の調査を理由に2度延期していた東芝が11日、2016年4―12月期決算を発表した。
監査法人から「適正」との意見を得るのが普通なのに、そのお墨付きを得ないまま決算発表するという異例の事態。形の上では期限までの発表に持ち込んだものの、肝心のお墨付きがなければ「絵に描いた餅」と言われてもしかたがない。「夏休みの宿題を白紙で出してきたようなもの」と市場関係者からは手厳しい評価も出ている。
そうした声が出るのは重々承知していても、東芝は前例のない3度目となる決算発表の延期は避けたかった。「これ以上の延期は株主に説明がつかない」という判断だろう。
ただ、前途は多難だ。監査法人が決算を承認しなかったことで、東京証券取引所の上場基準に抵触することになった。過去の不正会計問題に伴い、東証はすでに東芝を「特設注意市場銘柄」に指定し、内部管理体制を審査中だ。異例の決算発表は上場廃止リスクを抑える狙いだが、逆に市場の信頼を失墜しかねない。
ここ数年、東芝の迷走に振り回された株主や取引先は気が気ではないだろう。「仏の顔も三度まで」と願いたい。
(2017/4/12 05:00)