[ オピニオン ]
(2017/4/11 05:00)
ホテルの部屋ごとにNHK受信料を払うよう命じた東京地裁の判決と、日本音楽著作権協会(JASRAC)による音楽教室での演奏に対する著作権料徴収方針。二つのニュースからは取りやすい所から取る安易さが透けて見える。
JASRACの決定にヤマハなど業界側は猛反発。7企業・団体で「音楽教育を守る会」を発足した。音楽教室で使う教材や発表会での楽曲演奏には著作権料を支払っている。その上、教室内での演奏を対象とするのは二重取りではないか。
「先生の演奏を聴く生徒を“不特定の顧客”とするのは無理がある」との声もある。JASRACは「著作権を保護し、著作者に分配することが次の創作につながる」と主張するが、宇多田ヒカルさんらアーティストが「自分の曲は無料で使って」と表明した意味は重い。
NHKの判決を受け、テレビを置かないホテルが増えればテレビ離れは進むばかりだ。「私、映画音楽が弾きたい」「それはダメ。クラシックだけよ」。音楽教室ではこんな会話が増えるかもしれない。
音楽教室で学んだ子どもから将来の著作権料を生むアーティストが生まれる可能性もある。目先の徴収にこだわり過ぎれば、自分の首を絞めることになりかねない。
(2017/4/11 05:00)