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[ 科学技術・大学 ]
(2017/6/16 05:00)
早稲田大学理工学術院の新倉弘倫(ひろみち)教授は、カナダの国立研究機構、ドイツのマックス・ボルン研究所と共同で、アト秒レーザー(高次高調波、アトは100京分の1)で位相を分けた、電子の波動関数(粒子の状態を記述する関数)を直接可視化(イメージング)することに成功した。電子波動関数とその変化の画像を元にした新たな「アト秒テクノロジー」の発展が期待される。16日の米科学誌サイエンスに掲載される。
新倉教授らは、アト秒レーザーを使ってネオン原子の光イオン化過程で生成した、ほぼ純粋な「f―軌道電子」(電子波動関数)の密度分布と、その位相を分けた波動関数に相当するイメージを直接測定した。さらに、イオン化した電子波束が、どのような位相と振幅を持つ波動関数から成るかを同定する方法を開発した。
量子力学において、原子、分子や電子などの小さな物質は「波」としての性質を持ち、波動関数で表される。これまで波動関数の2乗しか観測できなかったが、位相を分けた波動関数イメージを初めて測定したことで、“波動関数の顕微鏡”が実現したといえる。
波動関数の可視化はアト秒テクノロジーでの大きな目標の一つ。今後は多電子の相関などによって、どのように電子波動関数の位相と振幅が変化していくのかを、アト秒で可視化することにつなげる。
(2017/6/16 05:00)
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