[ オピニオン ]
(2017/8/4 05:00)
元ライブドア社長の堀江貴文さんらが出資した民間ロケット「MOMO」の打ち上げは失敗に終わった。宇宙開発に挫折はつきものだが、改めてハードルの高さを思い知らされた。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)など公的研究機関が主導してきた日本の宇宙開発に、ロケットや衛星を手がける民間企業が参入しはじめた。宇宙が身近な存在になり、裾野が広がれば、新しいビジネスが芽吹くかもしれない。MOMOの再挑戦が待たれる。
憂慮される宇宙開発もある。北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)問題だ。すでに米国本土まで射程圏に入ったとの分析もあり、アジアの周辺国ばかりでなく世界的な火ダネとなってきた。
ロケットとミサイルは基本的に同じ技術。「誰もが気軽に宇宙へ行けたら」という夢を乗せてロケットが飛ぶことと、核兵器を積んだ弾道ミサイルが標的目がけて国境を越えることは、表と裏の関係にある。
宇宙空間をICBMの優先経路にしてはならない。核兵器が人々の暮らしに与える脅威を一日も早く取り除くことは、人類共通の願いだ。しかし宇宙利用の善悪を誰が判断し、どうやって規制と振興を使い分けるのか。新たな知恵が求められる時代になった。
(2017/8/4 05:00)