[ オピニオン ]
(2017/9/25 05:00)
日銀が大規模な金融緩和策の維持を決めた。米欧では金融危機下の緩和から正常化を模索する動きが出ており、日本との方向性の違いが鮮明だ。
日銀はデフレ脱却に向けて国債を大量に買い入れる“異次元緩和”を2013年にスタート。さらに昨年9月には、長期金利を「ゼロ%程度」に誘導する新たな金融政策を導入した。
それから1年となる21日の記者会見で、黒田東彦総裁は「外国の金利変動にかかわらずイールドカーブ(利回り曲線)が経済にプラスになる形で維持されている。実体経済も想定以上に改善している」と効果を強調。目標とする「物価上昇率2%」に向け、粘り強く現状の政策を続ける方針を改めて示した。
直近の経済指標をみると、実質国内総生産(GDP)は6四半期プラスを続け、企業収益は過去最高水準となっている。だが物価上昇率は目標とする2%にはほど遠い。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、保有資産を10月から縮小することを決めた。FRBは08年のリーマン・ショック後の金融危機対応として、資金を市場に供給するために国債などを大量に買い入れてきたが、これを方向転換するものだ。また欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行なども緩和縮小を探っているとされる。
“異次元緩和”の長期化により、日銀の保有する国債は6月末時点で437兆円を超えた。これは国債発行額全体の4割を超える水準だ。日銀の財務基盤が国債価格の変動リスクにさらされやすくなっており、将来的には日本国債の信認そのものが揺らぎかねない。
黒田総裁は「各国の政策は各国の経済・物価動向で決まっている」と話す。しかし本来、安倍晋三政権と日銀が連動した経済政策「アベノミクス」では、金融政策は景気浮揚の最初の段階であり、5年間もの長期緩和を想定していなかったはずだ。日銀がどんな判断に基づいて大規模緩和を続けるのか、丁寧な説明が求められる。
(2017/9/25 05:00)
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