[ オピニオン ]
(2017/10/18 05:00)
「ついに来たか」と感じた方も多かろう。米ワシントンで開いた日米経済対話で、米側が両国間の自由貿易協定(FTA)に言及した。
日本は環太平洋連携協定(TPP)への米国の復帰を求めており、原則的に2国間協定は受け入れられないとの立場。しかし正面きっての要求になれば、いつまでも逃げ回るわけにはいかないだろう。
産業界は2006年11月に経団連が日米経済連携協定を提言するなど、関係強化を求めてきた。当時、推進派の最右翼だったのは、経団連副会長で三菱商事会長の槇原稔さん。あまりの障害の多さに“あり得ない”と誰もが思っていた時代から「対米FTAが日本の理想。環境を整備せよ」と主張してきた。
そもそもTPPも8割は日米間の経済関係が占め、FTAに類似する。その内容を酷評して離脱したのが米トランプ政権。総選挙後の来月初めの大統領の初来日では、厳しい要求を覚悟しておく必要があろう。
4月に始まった日米経済対話は、これまで内容がよく見えなかった。通商担当の政府高官は「秘密が守られて結構なこと」と笑っていたが、迎え撃つ準備は万端だろうか。昔日に比べて成熟した日米関係だが、久々に「太平洋波高し」の予感がする。
(2017/10/18 05:00)