[ オピニオン ]
(2019/1/24 05:00)
水を使いまわす技術を日本で普及させようという動きが出てきた。欧米では、緑地を使って水資源を循環利用する「ネットゼロウオーター」という仕組みが普及している。この仕組みを日本でも取り入れようと、有志が2018年6月にネットゼロウォーター研究会(末岡徹会長=地盤工学会元会長)を立ち上げた。同研究会は19年2月に第1回公開セミナーを開く。これを機に日本でもネットゼロウオーターの普及を期待したい。
18年12月に水道事業の民営化を進める改正水道法が成立した。海外では、民営化による料金高騰や水質悪化の問題が起こり、公営化に逆戻りした例が少なくない。わが国の水道民営化がうまく機能するかどうかは心配だ。水をたくさん使う工場では、水を上手に使う技術が求められることになるだろう。
ネットゼロウオーターとは、雨水や建物で使った水などを緑地に集め、緑地と土壌を使って濾過し、再利用する仕組みだ。水の濾過に適した土壌を通過した水は上水と下水の中間の中水にまで浄化され、地下のタンクに流れ込んで貯められる。
米国やカナダなどでネットゼロウオーターの仕組みを視察した同研究会の坂本哲日比谷アメニス(東京都港区)水事業準備室長は「太陽光発電などは使う場所で電気をつくる、水もその場所で生み出していきましょうという感じです。米国では潅水や工場の冷却水、トイレなどで再利用されている。いくつかの施設を見学して衝撃を受けた」という。
日本では、工場立地法の対象となる工場は敷地面積に対する緑地面積の割合が20%以上と義務付けられている。こうした工場ではネットゼロウオーターの仕組みを導入するメリットがありそうだ。中水をうまく活用できれば、コスト低減にもつながるだろう。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)でも、目標6の「安全な水とトイレを世界中に」をはじめ、水に関連した項目は少なくない。水は人間の生命維持はもとより、あらゆる産業にとって欠かせないものである。
(2019/1/24 05:00)
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