(2022/6/16 05:00)
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で組織するOPECプラスが7、8月の2カ月限定で原油増産に動き出すが、原油価格に大きな変化はない。むしろ上げ基調にある。政府は引き続き増産を求めるとともに、9月以降の対応に注視が必要だ。
OPECプラスは2日の閣僚級会合で7、8月の増産量を日量64万8000バレルと従来の43万2000バレルから1・5倍に上積みした。ただ、この増産分はあくまで9月増産分の前倒しの位置付け。バイデン米政権が中間選挙を控え歴史的な高値にあるガソリン価格を抑えるために行う増産要請に対し、中東産油国の盟主であるサウジアラビアが応えたという構図がある。米国との関係修復を図りたいサウジが先に動いたと見られる。
ただ、OPECプラスの実際の供給量は、約束した増産ペースを下回っている。2021年7月の閣僚会合で毎月、日量約40万バレルの増産と、この枠組みの22年4月末から12月末までの延長を決めたが、メキシコがわずか2カ月でこのスキームから離脱するなど下位の産油国は予定生産量を確保できていない。加えて欧州連合(EU)がロシア産原油の禁輸制裁を決めたことで今後、ロシアの生産量は大幅に減少。その幅はOPECプラスの今回の増産幅よりも大きなものになるだろう。
これまでOPECプラスは消費国の増産要求に応えず小幅増産を維持することで「非常に狡猾に価格を維持してきた」(杉森務石油連盟会長)。だがウクライナ情勢が長引く中でOPECプラスを主導する中東産油国への世界の風当たりは強くなっている。今回の増産に当たりOPECプラスは「各地のロックダウン(都市封鎖)解除による経済の再開と、世界の製油所の取扱量増加による需要増を考慮」を理由に挙げた。ただ市場は実際に増産できる可能性は低いと見ており価格は下がらない。
OPECプラスは30日に開催予定の次回の閣僚級会合でどのようなメッセージを出すのか、前倒した9月以降の再増産に触れるのかどうかに注目したい。
(2022/6/16 05:00)
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