産業春秋/コロナ第8波、インバウンドに懸念

(2022/11/18 05:00)

インバウンド(訪日外国人)が急増している。日本政府観光局によると、10月の推計値は前年同月比22・5倍の49万8600人だった。水際対策の大幅な緩和と円安基調が奏功している。コロナ禍前のピーク時の2割程度が戻った計算だ。

国別では韓国が最も多い12万2900人で、次いで米国の5万3200人。コロナ禍前にインバウンドをけん引していた中国は2万1500人にとどまる。ゼロコロナ政策による行動制限はここでも大きく影響する。

日本医師会はコロナ禍第8波に入ったとの認識を示す。2023年1月中旬に新規感染のピークを迎え、第7波以上の感染者数に達するとの指摘もある。「BA.5」より感染力の高い新変異株が発生する可能性も気がかりだ。

政府は病床使用に応じて、都道府県が外出自粛などを要請する「対策強化宣言」と、出勤の抑制や旅行自粛などを求める「医療非常事態宣言」で対応する意向だ。ただ、いずれも法的な拘束力はない。

コロナ禍前の19年は3188万人のインバウンド、4・8兆円のインバウンド消費を計上した。政府は年5兆円を目標に22年度末までに新たな「観光立国推進基本計画」を策定する。5兆円への道は遠い。

(2022/11/18 05:00)

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