産業春秋／出でよユニコーン

米大リーグ・大谷翔平選手のドジャース移籍が決まった。１０年で総額７億ドル（約１０１５億円）の契約だ。投げて打って走って、前人未踏の記録を打ち立て、大リーグ史上最高の契約となった。

すべてに頭抜けたプレーをみせる大谷選手はユニコーンと称される。ユニコーンは想像上の獣で、額の真ん中に１本の角が生えた白馬のような姿。現実とは思えないような若き才能は、そう例えられるにふさわしい。

産業界では、短期間で頭角を現し確固たる存在を築いた企業をユニコーンと呼ぶ。設立１０年以内で時価総額１０億ドル以上に成長した企業だ。草創期の旧フェイスブック（現メタ）や旧ツイッター（現エックス）などがそうだった。

現在、世界には１０００社を超えるユニコーンがあるという。その大半は米中の企業で、２０１６年にティックトックを始めたバイトダンスは中国企業だ。

日本でのユニコーンはわずか。代表的なのは１４年設立のプリファードネットワークス（東京都千代田区）で、深層学習やロボティクスの最短路実用化による課題解決をビジネスにする。政府は将来的に１００社のユニコーン出現を目指す。米大リーグと同様、才能ある若き挑戦者が増えてほしい。