(2024/1/10 12:00)
トライボテックス(愛知県大府市、川畑雅彦社長)は、機械の潤滑油や作動油の劣化、汚染の状態を分析し、対策立案まで行う企業。発電機をはじめ故障や停止が許されないミッションクリティカルな機械に関する案件が大半で、電力会社が最大の取引先だ。油を分析する、いわば特殊な業務な上、濾過器や状態監視機器・システムを注文に応じて用意するため、多種多彩なスキルの人材が欠かせない。2023年5月には本社近くに新工場を稼働させ、働きやすさを格段に高めた。
トライボテックスの従業員は現在26人。このほか製造子会社に7人いる。派遣社員を含め女性や外国人も働き、製造子会社の7人中6人は60代、70代のシニア人材だ。
このように人材構成が多彩になるのには「当社は油の分析会社ではなく診断会社だ」(川畑和大総務部長兼TSCセンター長)とする同社の事業特性がある。つまり「油の分析だけならば分析装置を買ってくればできる。我々は分析数字の意味するものを解析し、なぜその数字になるのか根本原因を探し当て、解決方法まで提示する」(同)。その結果、例えば配電盤や基板をほとんど内製し、顧客の現場に必要な機器を据え付け、きちんと稼働するかを確認することになる。「機械工も電気工も必要」(同)となるのだ。
一方、中小企業ゆえに採用には苦労している。「人が全然来てくれない。いかに働きやすくし『この会社なら働ける』と思ってもらえるよう、就労環境をできる限り整える」(同)ことをとにかく心がけた。
油の分析は有機溶剤を使うため扱いには注意が必要で、特ににおい対策は大きな課題だった。新工場では排気ダクトを多数設けるなど、法令で求める以上の安全や環境対策を実施。ゆとりあるスペースと装置の効果的な配置も実現した。新工場はまるで大企業の新設ラボのようでもある。
設備面に加え「会社都合の休日出勤は、よほどのことがない限り指示していない。有給休暇取得率も80%台」(同)とする、プライベートの充実を引き出す、充実した働き方の実現にも注力している。従来はいなかった、新卒採用で10年超働いている人材が複数誕生し、記録更新中だ。
(2024/1/10 12:00)
総合1のニュース一覧
- 「H3」2号機、来月15日打ち上げ JAXA「成功させたい」(24/01/10)
- 能登半島地震/政府、予備費1兆円に倍増へ 復興支援で異例の対応(24/01/10)
- 日経平均、3万4000円台に回復 33年10カ月ぶり(24/01/10)
- 油の診断に多彩な人材不可欠 トライボテックス、就労環境・プライベート配慮(24/01/10)
- 自社ブランドで技術力訴求・人材獲得に生かす 中村製作所社長・山添卓也氏に聞く(24/01/10)
- 23年11月の実質賃金、3.0%減で20カ月連続マイナス(24/01/10)
- 積水化、「ペロブスカイト太陽電池」耐久20年実現へ 来年事業化(24/01/10)
- 栗本鉄工所、溶解炉にバイオ燃料 30年度めどCO2排出半減(24/01/10)
- つなぐ(4)サプライチェーン 素材、持続可能性高める(24/01/10)
- 三菱UFJ信託、新興投資枠を拡充 上限額、数百億円に(24/01/10)
- 産業春秋/株価は最高値を突破するのか(24/01/10)