(2024/1/10 12:00)
中村製作所(三重県四日市市、山添卓也社長)は、工作機械関連の精密金属加工を主力とする。最近は半導体やロボット分野の受注拡大にも積極的だ。一方、一般消費者向け自社ブランド製品の開発、販売や情報発信に力を入れる。その狙いについて山添社長に聞いた。
―自社ブランド製品の開発に力を入れています。
「重要なのは売り上げではなく、こうした製品を手がけることで得られる副次的な効果だ。以前、展示会でチタンから削り出したワイングラスを出品した。その際、底面の刻印を見た人が『これなら印鑑ができるのでは』と言った。アイデアに乗ってチタン製の印鑑を製作し、別の展示会で紹介したところ『チタンの加工ができるのであれば、潜水艦関連の仕事をやってみないか』と声がかかり、実際に受注した。この経験から、自社ブランド製品を使ってプロモーションをかけ、技術力をアピールすることが金属加工の仕事につながることが分かった。当社はこの『わらしべ長者』のような流れを『BツーCツーB』と表現している。こうした可能性を秘めていることが開発に力を入れる理由だ」
―社員のモチベーションアップにもつながっています。
「自社ブランド製品はユーザーからの反響を得られる。それが良いものであれば、社員の仕事に対するモチベーションは自然と高まる。さらに、その仕事に関わる意義や社会における自社の存在意義も感じることができるだろう」
―人材獲得にも生かしています。
「特に若い人材の確保において重要な役割を果たすと考えている。例えば、自社ブランド製品を出したことで、メディアでの露出が増え、当社を知ってもらう機会が増加し、学校からの推薦や入社希望の問い合わせが来るようになった。また、大学生を相手に講演した際、こうした製品の開発について話をした時は反応が大きかった。今の若者はやりがいを求めていると思う。それを実現できる当社と、当社が手がける仕事に興味・関心を持ってもらうという意味で成果を出している。今後も積極的に自社ブランド製品の情報を発信し、人材獲得に生かしていく」
(2024/1/10 12:00)
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