産業春秋／「もしトラ」が頭をよぎる

米国のバイデン大統領とトランプ前大統領。「米国人の大多数はどちらも国のリーダーにはしたくないと考えている」。米調査会社ユーラシア・グループがそう指摘する。

１１月の米大統領選。８１歳のバイデン氏が再選されれば「２期目終了後は８６歳」になると高齢を指摘。トランプ氏が返り咲くと米議会で「ウクライナ支援は強い逆風に直面」し、イスラエルを支持する同氏は「イランへの空爆も辞さない姿勢」を示すと警戒する。

ユーラシア・グループは２０２４年の世界の「１０大リスク」の第１位に「米国の分断」を挙げ、バイデン、トランプ両氏をそう形容する。両氏の対決は米国の政治的分断を悪化させ、米国の民主主義が脅かされかねないと警鐘を鳴らしている。

トランプ氏は、米大統領選の共和党指名候補を選ぶ予備選に連勝し、共和党の候補となることが確実視される。もしトランプ氏が大統領になったら―。「もしトラ」が頭をよぎる。

翻って日本。政治の分断どころか政治不信に揺れている。自民党は２５日、政治改革に向けた中間取りまとめを了承した。国際情勢が不透明さを増す中、党の体質を早期に一新し、「もしトラ」を含む内外の課題に向き合いたい。