障がい者の個性に合わせ得意作業割り当て 帝人ソレイユ、自立促し生産性向上

(2024/2/21 12:00)

帝人グループの特例子会社である帝人ソレイユ(東京都千代田区)では36人の障がい者が働いている。コチョウランや野菜の生産・販売を行う主力の農業事業の拠点では、4人の重度知的障がい者を含む16人の障がい者が活躍する。社員の性質に合わせて得意な作業を割り当てることで、生産性を向上。「社員と共に成長する」という帝人グループの企業理念の通り、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できるような働き方を実現している。

  • 農業事業の拠点では障がいのある従業員16人が働く

2019年2月に設立した帝人ソレイユは、農業事業として野菜の栽培を開始した。同事業だけでは収支が厳しく、ある福祉事業所での活動を参考に20年に始めたのがコチョウランの生産・販売だった。

障がい者雇用の会社では通常、障がい者に対して支援員が割り当てられることになっているが、帝人ソレイユで働く社員は一人ひとりが自立的に活動している点が特徴だ。同社には障がいのある子どもを持つ社員も所属しており、社員が1人で作業できるような工夫や業務工程が確立されている。

例えば重度の障がい者は反復単純作業が得意とされる。コチョウランの生産現場においては、苗を出したり、必要な部材を組み立てたりといった出荷工程の前半部分がこれに当てはまる。

  • 花の見栄えを決める仕立て作業に専念する従業員たち。得意な作業をそれぞれに割り当てている

一方、出荷工程の後半にはコチョウランの見栄えを決めるために作業者の判断も必要。花の高さや位置など工夫が求められる仕立て作業では、不安を感じやすい不安障がいの社員らが活躍している。

とはいえコチョウランは単価が高く、長い作業工程の中で花が取れてしまうなどのロスが出ることは事業上のリスクとなる。そこで同社では半年に一度、業務評価の場を設ける。作業内容ごとに絶対評価を行い、それによって社員の賃金も変動する仕組みをとっている。

帝人ソレイユが手がけるコチョウランは金融機関への直販が中心で、このほか市場でも取引されている。現在、コチョウランを栽培するビニールハウスは埋まりつつある状況。コスト削減も行ってきたが、「フル生産で全て売れるようになれば、黒字化する見込みがある」(鈴木崇之取締役社長補佐)という。社員の成長によって、事業のさらなる発展が期待される。

(2024/2/21 12:00)

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