(2024/3/4 12:00)
テスココンポ(埼玉県行田市、加藤裕輝社長)は、アイオイ・システム(東京都品川区)のピッキングシステムと倉庫の棚を運ぶ無人搬送車(AGV)システムを活用して、ピッキング作業を担う作業者の生産性を約3倍向上した。作業者は歩かず、持ち場でプロジェクターが投影した指示などに沿って作業を完了できる。人手不足が課題となる中、ロボットの活用でピッキングミスや教育コストの削減にもつながった。
テスココンポは1965年に設立。荷主企業の物流業務を一括受託するサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)事業を展開している。埼玉県に六つの拠点を持ち、顧客の商品を入庫してタグ付けや検品などの付帯作業、出荷と在庫管理、日本全国への運送を担う。
ニーズは旺盛な一方で、人手不足が課題。業務効率化を目指して、靴を取り扱う鴻巣センター(埼玉県鴻巣市)で2021年に、TOPPANグループのアイオイ・システムのシステムを導入した。
作業者のいるステーションまでAGVが棚を運び、「プロジェクションピッキングシステム(PPS)」がピッキング場所と数量を投影。ピッキング場所を誤るとセンサーが検知し、アラームが鳴動する。商品を取ってバーコードをスキャンすると、仕分け棚に設置したシャッター付き表示器の「シャッターアソートシステム(SAS)」が商品を入れる必要がある場所の間口だけを開ける。SASの指示に従い仕分けてポカミスを防ぐ。
「人とロボットが介在する中間点を滑らかにつなげられるのが当社の強み。短時間でミスを起こさず作業できるように工夫した」とアイオイ・システム営業本部第一営業部の井上恒部長は説明。一連のシステムは在庫管理システムと連携している。
従来は作業者がリストを基に歩いて棚にある商品をピッキングしていた。システムの導入で作業者の生産性が約3倍向上したほか、教育コストや棚の配置換えなどのメンテナンス時間を削減できた。現場は作業者がAGVを待たせるほどのスピード感。時間に余裕が生まれた作業者は他工程の応援に行けるようになった。
従来は店舗向けに発送する物流代行の商品ピッキングで同システムを活用していたが、24年4月からは電子商取引(EC)サイトなどの個人向け発送の物流代行でシステムを使い始める予定。AGV18台とステーション3台を運用する。今後は一層の効率化を目指し、ECサイト向けの物流代行に特化したAGV部署の設置も検討している。「ロボットは正しく動く。複数の荷主や形態の異なる物流でも対応できる」(井上部長)。
テスココンポの山田周作鴻巣センター長は「物流業界は労働集約型で人海戦術の側面が強かったが、ロボットなどの技術が進化して倉庫内の作業方法も進展し、装置産業へと変わりつつある。当社もAGVの導入を足がかりに、出荷・検品・梱包作業でも省人化を進めたい」と話している。
(2024/3/4 12:00)
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