(2024/4/1 12:00)
乗用車用スチールホイールの国内市場で55%のシェアを握るトピー工業。製鋼を祖業とし、素材を知り尽くした同社が自動車メーカーを陰で支えるのがスタンピング事業だ。トヨタ自動車向けの補給部品を手がける豊川製造所(愛知県豊川市)のスタンピング工場では、部品溶接作業のロボット化を進めている。近年は顧客の要求品質の高まりや労働力不足に対応するためロボ投資を増加。ロボの汎用的な活用に向けた取り組みを強化している。
スタンピング工場は1962年に操業を開始。金型を5500型保有し、月間約5万枚の生産体制を確立している。現在は市場に出たトヨタ車の修理に使われるトランク、ルーフ、ボンネット、バックドアといった補給部品の生産を担う。
2000年代初頭から品質の維持と省人化を目的に、ロボによる人手作業の自動化を模索。バックドアとボンネットの部品溶接作業で打点数の多い車種についてロボによる作業に置き換えた。従来ロボ1台ごとに1車種の溶接工程を担ってきたが、23年に1台のロボを複数車種に汎用的に使えるようラインを改修。生産効率は従来比1・6倍に改善した。
ライン改修は費用を抑えるため社内で取り組んだ。治具を交換しやすいよう構造を工夫。また治具を据えるテーブルに自動回転機能を付加した。交換した治具番号を設備側で自動認識させ、ロボプログラムの呼び出し間違いを防止できるシステムとした。同製造所スタンピング製造部技術開発グループの高山豪グループ長は「回転テーブルの最適な位置決めがなかなかうまくいかず、制御に苦労した」と明かす。
補給部品は量産部品と違い、受注量が一定でないため自動化による損益分岐点の算出が難しい。そのため手作業による部品溶接ラインも残しつつ、どの車種をロボによる溶接作業とするかの見極めが大事だ。高山グループ長は「少量多品種生産品に対し、ロボ導入の費用対効果の高さと品質の両立が課題」と強調。最適なロボット活用への挑戦が続く。
(2024/4/1 12:00)
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