(2024/4/1 17:00)
楽天グループは1日、金融事業の再編に向け傘下の楽天銀行と協議を始めると発表した。楽天銀行を軸に楽天証券ホールディングス(HD)、クレジットカード事業を手がける楽天カード、保険業を担う楽天インシュアランスHDなどを10月にも一体運営する見通し。携帯通信事業で巨額の赤字が続く中、稼ぎ頭である金融系グループ各社の連携を深め、「楽天経済圏」の競争力強化につなげる。
楽天ウォレットを除く金融系グループ各社を一つのグループに集約する組織再編を想定している。楽天銀行の上場は維持する見通し。楽天グループは同行の49・27%の株式を持つ。検討中だった楽天証券HDの上場は見送る方針。
約1500万口座を持つ楽天銀行と、発行枚数3000万枚超の楽天カード、1000万超の口座がある楽天証券などで人工知能(AI)を用いた事業横断的な連携を深める。これにより楽天銀行は、楽天経済圏を活用している楽天会員を効率的に獲得。資金決済ニーズや資金需要に対して銀行サービスを提供し、業績拡大を目指す。
楽天グループは携帯通信事業での巨額の設備投資が響き、2023年12月期連結決算(国際会計基準)の当期損益が3394億円の赤字と5期連続の当期赤字だった。事業別の営業損益では携帯通信事業が3375億円の赤字の一方、金融事業は1229億円の黒字。電子商取引(EC)サイト「楽天市場」などのインターネットサービス事業(768億円の黒字)を上回る稼ぎ頭となっていた。
携帯通信業界ではNTTドコモがマネックス証券やオリックス・クレジット(東京都港区)の買収を発表するなど、金融事業てこ入れによる自社経済圏拡充の動きが目立つ。
(2024/4/1 17:00)
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