(2024/4/1 12:00)
タグチ工業(福岡市博多区、田口一生社長)は、複数のベルトコンベヤーをつないで一体的に運用する連続ベルトコンベヤーシステムなどのプラント設備メーカー。1996年に同システムを大手ゼネコン向けに開発し、普及に取り組む。建設中の北海道新幹線やリニア中央新幹線などのトンネル全国220件以上の工事に導入した。
トンネルの掘削場所から岩や土砂をトンネル外の置き場に搬出する際、搬出距離などによってはダンプカーを使うことが多い。一方で同システムは搬出を自動化し、1時間当たり300―1200トンの土砂や岩を搬出できる。掘削が進むに連れてベルトコンベヤーを延伸できる。2000年にはブリヂストンと共同でカーブなど曲がった場所に対応するシステムも開発。トンネル形状の変化に対応しやすくなった。
ダンプカーを使う場合、通行するたびに工事を中断しなければならないケースがあるほか、安全性や騒音などの課題もあるという。連続ベルトコンベヤーシステムは安全性を高めることができ、騒音を抑えられる。また粉塵が舞うことも少なく、環境対策上のメリットもあるという。
23年には1000メートル以下の短距離トンネル向け連続ベルトコンベヤーを開発した。現在二つの現場に導入しており、市場開拓に力を入れる。田口幸作専務は「国連の持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への意識の高まりや作業人員不足に応える。いずれは全自動化にも対応したい」と強調する。
運用管理とメンテナンスの充実もシステムのポイントだ。トンネル掘削の工期は5年以上かかることも珍しくない。メンテナンスなどのアフターサービスは2カ月ごとに実施する。タグチ工業はシステムに対するユーザーの多様なニーズに応える。販売後のシステムを買い戻してメンテナンスを施し、他のゼネコンに販売するバイバックも実施している。
(2024/4/1 12:00)
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