中電工、画像分析 AIで領域拡大 人流把握、マーケティングに活用

(2024/4/22 12:00)

中電工が人工知能(AI)を使った画像分析システムの利用領域を広げている。従来は車両通行量調査や河川水位計測などの目的が多かったが、近年は繁華街の人流把握などにも使われ始めた。人流の把握では人数のほか男女、年齢などをAIが判別する。ほかにもさまざまな利用方法があると想定しており、今後も自治体や企業のニーズに対応した新たな用途を提案していく方針だ。

  • 撮影した画像を基にAIが検出領域内の人数などを計測

中電工のAI画像分析システムは、IPカメラとルーター、記録用SDカードなどの機器と通信料金をサブスクリプション(定額制)で提供する。カメラに実装した簡易AIは追加料金なしで利用でき、高度AIを利用する場合はHTTPライブストリーミング(HLS)で配信する。

中電工がAI画像分析システムを初めて納入したのは2021年。広島県内に約250台のIPカメラを設置し、同県が交通量調査に使った。「何時に何台の車両が走行した」という基礎的情報に加え、AIの活用によって「大型車何台、普通車何台が走行した」などの付加情報も記録できる。このほか川や海面の水位の計測など防災目的でも使われた事例がある。

近年は利用目的が人流の把握などに広がっている。23年4月に本格運用が始まった富山市では、JR富山駅北側の人流を把握するためにIPカメラを活用している。富山駅は路面電車の南北接続や北陸新幹線延伸に合わせ、駅北側で再開発が進んだ。コンサートホールなどを備えた文化施設や複合ビルなどが完成しており、駅の北側に店舗の出店を促すために富山市がマーケティングデータとして提供する。

28カ所に約50台のIPカメラを配置し、24時間、人の動きを記録する。通りを通行した人数、男性か女性か、さらにマスクを着用している比率などもAIが自動で分析する。

北海道美瑛町も23年にAI画像分析システムを導入した。同町には「クリスマスツリーの木」や「白金青い池」などの観光地があり、インバウンド(訪日外国人)観光客にも人気スポットになっている。IPカメラで混雑状況や駐車場の空き状況などを記録。同町のホームページや道の駅に設置したデジタルサイネージ(電子看板)で混雑状況や駐車場の空き状況などを配信する。

情報は3分ごとに更新されており、観光客からはリアルタイムに近い状況を把握できるとして、好評を得ているという。

(2024/4/22 12:00)

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