武井製作所、転造盤へのワーク着脱自動化 省人化など効率化推進

(2024/4/22 12:00)

  • 2本のハンドを使い分け、パーツフィーダーからのワーク取り出しと転造盤への供給、完成品取り出しを1台で担う

武井製作所(千葉県松戸市、武井哲郎社長)は、商用車や建設機械向けの金属部品を手がける。2020年から転造ネジの生産に協働ロボットを活用している。パーツフィーダーから加工対象物(ワーク)を取り出して転造盤に供給し、ネジ山を加工後に取り外して、完成品を容器に入れるまでを1台で担う。人手で行っていた作業を自動化し、ロボット稼働中に従業員は別の作業ができるようになった。

ロボットが稼働するのは商用車のパワーステアリングに使う転造ネジの生産工程で、1日当たり約2000本生産する。従来はパーツフィーダーで整列させたワークを人手で取り出して転造盤に供給しており、機械1台に人がかかりきりになっていた。「ワークの供給だけなら自動供給装置でいいが、ロボットであれば生産品目の変更や、別工程にも応用できる」と武井社長は考え、同社初のロボット導入を決めた。

導入したのはデンマーク・ユニバーサルロボット(UR)製の協働ロボット「UR5」。制御装置などのシステム全体に900万円を投じた。安全柵が不要で、産業用ロボットより投資費用や設置面積を抑えられた。形状や素材がわずかに異なる2本のハンドを切り替え、ワークの供給と完成品の取り出しを1台でまかなうことができる。

不具合が起きにくいようにセンサーやカメラを搭載しておらず、転造盤にはコンピューター数値制御(CNC)機能もないため「ロボットの動作に必要なデータを取るのに苦労した」と武井社長は話す。システムインテグレーター(SIer)の提案で、油圧モーターの電流値を基に転造ダイスの開閉状態を推定し、ワークの供給・取り出しを行うようにプログラミングした。

「作業速度で言えば人の方が3倍速い」(武井社長)ものの、省人化に成功したメリットは大きい。受注が増えた場合には24時間稼働に切り替え、増産することも検討する。今後も長時間の単純作業をロボットに任せ、効率化を図る方針だ。

(2024/4/22 12:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

シッカリ学べる!3DAモデルを使った「機械製図」の指示・活用方法

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

技術士第一次試験「建設部門」受験必修キーワード700 第9版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン