産業春秋/中堅・中小が賃上げ健闘

(2024/4/23 05:00)

中堅・中小企業が健闘している。2024年度の賃上げである。財務省が22日発表した調査によると、ベースアップ(ベア)を実施した中堅・中小企業は63・1%に達し、23年度の54・3%から8・8ポイントも上昇した。

大手企業は24年度に81・1%がベアを実施し、比率は中堅・中小企業を大きく上回る。ただ23年度の大手企業のベア実施は77・9%で、前年度比の伸び幅では中堅・中小を下回る。賃上げの波が中堅・中小企業へと広がっている様子がうかがえる。

ベアと定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率が「5%以上」だったのは大手企業が53・8%(23年度は26・1%)で中堅・中小企業は24・4%(同13・4%)だった。こちらは大手企業の方が前年度比の伸び幅が大きい。

中堅・中小企業の50・2%が24年度の人件費の上昇分を価格転嫁できていなかったという。取引の適正化が不十分だったことが、賃上げ率の格差につながった可能性がある。

24年春季労使交渉(春闘)はまだ終わっていない。連合の第4回集計結果によると、平均賃上げ率は5・2%で、連合が要求した「5%以上」を上回る。最終集計で5%以上となるかどうか。中堅・中小企業の健闘に期待したい。

(2024/4/23 05:00)

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