(2024/4/24 12:00)
カルテック(大阪市中央区、染井潤一社長)は、水や空気の除菌、脱臭を中心に展開するスタートアップ。酸化チタンが主材料の光触媒に太陽光などを当てると活性酸素が発生し、有機物を水と二酸化炭素(CO2)に分解する。この技術を用いた製品を展開しており、近年は農業や畜産業といった新たな領域に挑戦する。染井社長に自社の強みや展望、必要な人材像を聞いた。
―自社の強みは。
「壁掛け式や持ち運べる除菌脱臭機、食品の鮮度を保つ保存器具などを手がけるが、いずれも重要なのが光触媒。特に酸化チタンを含む溶液を均一かつ剥がれにくく塗る技術が強みで、ガラス布や活性炭と組み合わせて除菌・脱臭を行うモジュールを開発してきた」
―コロナ禍で除菌ニーズが高まりました。
「一時は売上高が約65億円まで伸びたが、2023年度は反動で大きく落ち込み、売上高が7億―8億円で経常赤字に転落した。これを黒字転換し、27年度には過去最高益を超えたい。今後、一般消費者向けの家電だけでなく理美容や介護、医療分野で事業者向け製品を展開する。農業や水産業に光触媒は応用でき、空気や水、食品の浄化という点でも市場を攻める」
―具体的には。
「植物工場や陸上養殖場で水を浄化したり、畜舎のにおいを和らげたりすることが可能だろう。光触媒は物理的なフィルターなどに比べ、メンテナンスの手間をあまりかけずに使える点を訴求する。これらの分野に向けた製品開発や実証実験を加速していく」
「海外展開も注力する。特に欧州と米国、中国がメーンターゲットだ。中国では既に現地の投資会社と合弁会社を設立しており、特許など知的財産分野でビジネスを展開していく方針だ。例えば電気自動車(EV)内部の空気の循環などに活用できるとみている」
―自社の技術者には何を求めますか。
「『ビジネスの分かるエンジニアになれ』と常日頃から言っている。知識のある技術者でも、顧客の立場で物事を考えられなければ売れるモノはできない。顧客の琴線に触れることを常に意識するのが重要だ。事業開始から6年たち、世代交代は課題の一つだが技術とセールスを磨き続ける」
(2024/4/24 12:00)
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