E―Flow、分散型エネ取引最適化 AI搭載プラットフォーム活用 系統用蓄電池で運用

(2024/7/1 12:00)

関西電力子会社のE―Flow(大阪市中央区、川口公一社長)は、事業者が保有する系統用蓄電池や工場設備などの分散型エネルギーリソース(DER)の市場運用を手がける。人工知能(AI)を搭載した独自プラットフォーム「K―VIPs+(ケービップス・プラス)」を活用。市場取引において需要家の利益を確保するとともに、再生可能エネルギー電源が増えても電力需給が安定するように、DERの利用拡大を推進する。

  • 関西電力とオリックスが共同出資する紀の川蓄電所の系統用蓄電池設備(イメージ)

仮想発電所(VPP)事業、系統用蓄電池事業、再エネアグリゲーション事業の3本柱で展開。事業者が保有する設備の電力を卸電力市場、需給調整市場、容量市場などで取引し、その仲介手数料がE―Flowの収益となる。

VPP事業では、アグリゲーター(特定卸供給事業者)として需要家に使用電力の抑制などを指示し、束ねた電力を市場で取引。系統用蓄電池事業と再エネアグリ事業では、事業者の日々の市場入札や計画提出などを代行する。現在はこのうち系統用蓄電池事業のみでAIを活用する。

市場取引では電力需給の状況を踏まえ、どの市場で応札すべきかを適切に分析しないといけない。系統用蓄電池は細かな変動に対応できるため、需給調整市場での取引の方がメリットを出しやすい。ただ同市場は「一次調整力」と、それぞれ2種類ある「二次調整力」「三次調整力」など選択肢が多く運用が複雑だ。南洋充事業推進本部長は「蓄電池は充放電の観点で制約があり、考慮すべき変数は多い。AIを使わないのは現実的ではない」と話す。エクサウィザーズがAIモデルを提供。関電グループの知見も生かし、需給状況や取引価格などの教師データを学習させ、AIの精度向上を進めている。

一方VPP事業では、リソースは大規模な工場が中心。細かな制御が必要ないため、AIを使わなくても十分に運用できるという。ただ2026年度には制度改正により、低圧リソースでも需給調整市場に参入できるようになる予定だ。それによって家庭用蓄電池や電気自動車(EV)などのリソースが増えれば、VPP事業でもAI活用の可能性は出てくる。今後は制度改正に合わせたAIの調整が一層重要になる。

23年には全国のアグリゲーターなどで構成するエネルギーリソースアグリゲーション事業協会が設立された。制度改正が頻繁に続く中、建設的な提言によって公正な競争環境を整備し、市場拡大を目指している。

(2024/7/1 12:00)

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