高温・真空下で低揮発・潤滑 ニッペコ、半導体製造装置向けグリース注力

(2024/7/10 12:00)

  • 半導体製造装置で使えるニッペコのフッ素グリース「TKM-03」

ニッペコ(東京都中央区、山口芳基社長)は、グリースの専業メーカー。産業用機械や自動車などの可動部分の潤滑剤として使われる。近年は高性能が求められる半導体製造装置向けのグリースにも注力する。2023年8月に半導体製造装置向けグリース「ロゲネストラムダ TKM―03」も発売した。山口社長は「社会のニーズに対応できるグリースを提供し続ける」と強調する。

グリースは潤滑を担う基油、基油を固める増ちょう剤、グリースの性能を高める添加剤からなる半固体状の潤滑剤。材料や配合割合で潤滑性・耐久性が変化するため、使用環境や用途に合わせた研究開発が必要だ。700―800種類以上をそろえるニッペコのグリースは、幅広い産業で活躍している。

半導体製造装置向けのグリースは1990年代に開発を始めた。取引先の光学機器メーカーの半導体分野参入がきっかけだった。装置メーカーと研究を重ね、2010年に半導体製造装置向けのグリースを発売した。

過酷な環境で使うグリースは、材料や配合にも注意が必要だ。半導体製造装置内は高温になりやすいほか、プラズマが発生しやすい状況をつくるために真空に近い環境となる。また低圧で沸点も低下し、物質が蒸発しやすい。グリースも真空下では気化しやすく、発生する気化物質が不純物としてウエハーに悪影響を与える。

ニッペコは耐熱性や真空環境下の低アウトガス性能を持つグリースを開発した。ロゲネストラムダ TKM―03は、基油にパーフルオロポリエーテル(PFPE)を使い、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を増ちょう剤としたフッ素グリースだ。

創業は1933年4月。国内で製鉄が盛んな時代、製鉄所の熱間圧延機のロールネック部の軸受用グリースなどを供給していた。「グリースは製造業と深い関わりがある」と山口社長。グリースで産業全体を支える。

(2024/7/10 12:00)

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