女性目線でライン構築 アサヒフォージ 海外学生採用も本格化

(2024/7/23 12:00)

熱間・温間プレス鍛造や熱間ローリング鍛造で自動車や鉄道車両などの部品を生産するアサヒフォージ(岐阜県美濃市、朝日浩司社長)は、外国籍を含む女性の活用に力を入れている。「女性従業員の比率を現在の15%から将来は30%にする」(朝日社長)方針だ。海外での大学生の採用活動も本格化している。人材不足の中「多様な人材の活用は不可欠」(同)とし、環境整備も進めている。

  • 同社工場のスマート化を担う林さん(左)とディーチョソさん

アサヒフォージの技術部は、新規部品開発に加え、新たな生産技術の開発、デジタル技術活用、工場の高度化なども担う。大学でメカトロニクスを専攻した入社3年目の林優希さんは技術部でロボット導入を担当。プログラミングや専用ロボットハンドなどの設計も業者任せにせず自ら手がける。

本社・美濃工場で稼働するロボットはいまだ5台と無人化は道半ばだ。林さんはどこから自動化すべきかを考えるため1カ月間、現場作業にも従事した。「女性でも負荷なく働けるライン」の構築を目指す。

外国人の活用では、日本への留学生の採用に加え、2019年に初めてフィリピンで就職説明会を開いた。応募者約100人から3人を採用。入国不可だったコロナ禍を経て22年12月に入社したうちの一人がディーチョソ・エレイン・グレイスさんだ。「日本のロボットに憧れ」自国の工科大学で電気工学を学んだ。

現在は技術部でデジタル技術の導入を担当する。プログラミングを独学した人工知能(AI)の画像処理システムがライン内で稼働中。「AIやIoT(モノのインターネット)をもっと学び活用したい」と意欲を見せる。同社はフィリピンでの就職説明会を5月も開催。工場があるインドネシアなどでの開催も検討している。

  • 女性の意見を取り入れた食堂(左)とカフェスペース

同社では、技術部以外にも機械加工や金型製作に女性従業員を配置している。今は人手に頼る十数キログラムある金型の取り扱いの自動化なども今後の課題だ。また秋には同社初の女性の海外勤務者も米国で誕生予定で、後に続く人材の育成にも力を入れていく。

そして環境整備にも努める。22年には社員の声を集めて実践するプロジェクトを始動。トイレへの生理用品の常備などを実行した。23年4月に完成した食堂棟も企画チームに多くの女性が参加。カフェスペースも設け家具も女性が選定した。「将来は各部署、管理職ともに女性比率を3割以上に高めたい」(朝日社長)とし、さらに女性の活躍を後押しする。

(2024/7/23 12:00)

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