産業春秋／熊本に響く8年ぶりの「打鐘」

２０１６年４月の熊本地震の被害を受けた熊本競輪場（熊本市中央区）で２０―２２日、約８年ぶりに「本場開催」された。競輪は経済産業省の管轄下で地方自治体が主催し、自転車競技の着順を予想する公営競技。

熊本競輪場のレースは熊本市が施行する。式典で大西一史市長らが再出発を祝った。熊本市中心部に位置する同競輪場。近くの熊本城は２１年６月から天守閣の内部公開を再開した。同市内も復興が着実に進む。

にぎわいが戻ったが目下の課題は政令指定都市の中でワースト級の交通渋滞だ。台湾積体電路製造（ＴＳＭＣ）の工場が同市隣接の菊陽町にでき、渋滞は深刻さを増す。人口７３万人超の車社会で抜本策は一朝一夕にはいかない。

熊本城観光後、熊本競輪で車券を当てた観光客が熊本駅まで渋滞に巻き込まれて、帰りの新幹線に間に合わないといった天国から悪夢の出来事もあり得る。そんなことが起きないためではないが、９月には深夜時間帯の無観客レースも開かれる。

熊本競輪の売り上げが増えれば熊本市の収入も増える。そうなれば効果的な渋滞緩和策の一助に。無理のない資金で余裕を持って楽しめば車券予想だけでなく、こうしたことまで思案できるかも。