(2024/8/21 12:00)
訓練に全力、本番で実力発揮
水技術は2019年のロシア・カザン大会から競技職種に追加された新種目。日本は前回大会(特別開催)からの参加で、2度目の出場となる。選抜された高島旺亮選手は、水ingグループで水道施設の運転・維持管理などを担う水ingAMに所属する。通常業務の傍ら、水処理技術者に求められる水質、機械、電気の3分野の技能向上に磨きをかける。若手技術者の育成に向けた指導体制も構築され、盤石の体制で挑む。
入社4年目の高島選手は技能五輪を志したきっかけについて「水を通じて社会に貢献し世界の人を笑顔にしたいと思った」と話す。コロナ禍で中止となった上海大会に替わり開催された特別大会には先輩社員の山崎翼氏が参加。初出場ながら銅メダルを獲得した。高島選手は「達成感あふれる姿を見て憧れを抱いた」と語る。
水技術の課題は多岐にわたる。白衣を着ての水質分析やヘルメットを装着してのポンプの点検・整備以外に、制御の自動化やセンサー調整といった電気分野の知識も問われる。課題と日常業務は通じる部分が多いとはいえ、25歳以下の若手が水質、機械、電気の3業務をこなすのは難しい。エキスパートの相馬良夫氏は「技能五輪は三つの幅広い業務を習得するのに有効な手段」と強調する。会社としても技能五輪を若手技術者の技能向上につなげたい考えだ。
2度目の技能五輪国際大会出場とあって、指導側のチーム体制も構築された。“チーム旺亮”を編成するなど、相馬氏は「若手のスーパーマンを育成できる体制が整った」と語る。上下水道の水処理施設の多くは民間企業が運営・維持管理を担うが、現在水技術に参加する企業は水ingAMのみ。「国内での競争力を上げるためにも1社だけでなく多数社で切磋琢磨(せっさたくま)すべきだ」(相馬氏)と率直な思いを語る。
リヨン大会に向けて高島選手は必要な知識や技術を向上してきた。水質分析では一から薬品の知識やメスシリンダーやピペットの使い方を習得。器具の使用方法を改めるだけでも水質分析精度が向上することを学んだ。ポンプの整備では、当初はボルトやナットを逆に締めるほどだったという。反復練習を重ねることで息をするように正しい方向に締められるようになった。「本番まで訓練に全力で取り組み、実力を出し切りたい」(高島選手)と金メダル獲得への意気込みを見せる。
水技術は上下水道の運転・維持管理業務や汚泥処理などを扱う。処理水の水質分析や汚泥などの移送に使うポンプの整備に加え、雨天などの影響で増減する流入水量の変動対応といった水に関する広範囲な領域が対象。また配管図や配線図通りにシステム構築する計装作業も実施。水技術者として必要な水質や機械、電気に関する能力が求められる。第45回ロシア・カザン大会から新職種として採用された。選手の年齢制限は25歳以下。
(2024/8/21 12:00)
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