(2024/8/21 12:00)
櫻製作所(大阪市淀川区、井上正基社長)は、主に化学や食品プラント用の撹拌装置など各種装置の製造販売を手がける。業界のニーズに合わせた装置を製造できる設計と製造技術が持ち味だ。そうした知見と技術を生かし、簡単に手のひらサイズのドライアイスを製造する小型装置を開発した。同社によるとドライアイスは通常、石油プラントなどの大規模施設で大型機器を使い製造する。井上社長は「すぐにドライアイスが欲しい企業は多くある」と自信を見せる。
今回、油圧装置や配置の設計を工夫し小型化を実現した。同社が得意とする「プラント用装置の設計ノウハウなどを生かした」(井上社長)ことに加え、大手重工メーカーから同社に移った若手社員による設計のアイデアも不可欠だったと振り返る。その安永昌平営業本部技術企画課主任は「高品質な薄板形状のドライアイスをつくるのは難しい。仮説立案と実験を繰り返し、技術的な課題を一つずつ解決した」と話す。
装置名「ドライアイスステーション」は、高さ1220ミリ×幅440ミリ×奥行き800ミリメートル。重さ250キログラムで、キャスターとアイボルト(つり下げ用金具)を備え円滑に動かせる。液化炭酸ガスを原料に、冷却した機器内に液化炭酸ガスを噴出してドライアイスのパウダーを生成。それを機器内の油圧プレスで圧縮成形する。毎分最大4個のドライアイスのブロック(インゴット)を製造する。インゴットは使い勝手を考慮し130ミリ×75ミリ×20ミリメートルにした。
ドライアイスは各種実験や低温輸送の用途だけでも市場は大きい。さらに同社はドライアイスで冷却するジャケットをチクマ(大阪市中央区)と共同開発した。冷却源がドライアイスなら電気回路が不要で火災の心配がない。井上社長は「防爆性が必要な消防、建設、空港作業など幅広い分野での利用が見込める」と勝算を立てる。
使い勝手も考慮し、感圧式タッチパネルで手袋をしたまま操作可能。特許申請中の技術で液化炭酸ガスからの変換効率が高くロスが少ない。展示会に出展した際は問い合わせが相次いでいるという。
(2024/8/21 12:00)
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