木田バルブ・ボール 弁体ボール高精度化、医療分野に進出

(2024/8/28 12:00)

  • 木田バルブ・ボールが手がける製品。各種専用機を自社開発し難加工に対応している

木田バルブ・ボール(大阪府東大阪市、木田浩史社長)は、2024年に創業60周年を迎えた。金属加工技術を磨き、一貫して真球度と表面の滑らかさを両立させたボールバルブ用の弁体ボールを手がけてきた。高い品質が顧客から評価され、バルブ業界だけでなく、高精度な人工関節などの医療関連分野にも進出している。

人工関節に用いられる球体部品は、ポリマーの摩耗を抑制するために高い真球度と滑らかさが求められる。特に真球度は他社製品が約1・5マイクロ―3・0マイクロメートル(マイクロは100万分の1)程度であるのに対し、同社製品は約0・3マイクロメートル以下と約10倍の精度を誇る。

同社で扱う製品は完全な球の形ではないため、鍛造によって一括成形が可能なベアリング用ボールなどとは異なり量産が難しい。加えて表面を滑らかにするために球を研磨すればするほど、製品の真球度は下がっていく。真球度と表面粗さの両方を高い水準で保つ絶妙なバランス感覚が、同社のモノづくりの強みだ。

こうした難加工を実現するため、長年にわたって同社では加工に用いる各種専用機を自社開発してきた。自動化に向けた投資にも積極的で、本社工場では現在9本のロボット生産ラインが稼働中だ。ロボット導入以前と比較して、あるラインでは生産性が約7倍に向上したという。木田社長は「自動化自体は30年近く前から試みてきたが、7年ほど前にようやく満足のいくレベルに到達した」と振り返る。

5月には協働ロボットを新たに導入。これまで蓄積してきた金属加工技術の知見を生かし、専用機の設計・開発を含めたロボットを用いての自動化提案を新規事業として開始した。

木田社長は「一見安泰に見える時期ほど危機感を持って、新しいことを模索し、行動するべきだ。当社にしかない生産技術を基盤にしつつも、常に次のビジネスを目指していく」と先を見据える。

(2024/8/28 12:00)

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