インタビュー/共和産業社長・鈴木宏子氏 新たなモノづくりへの挑戦で差別化

(2024/8/28 12:00)

共和産業(群馬県高崎市、鈴木宏子社長)は、自動車部品やロケット部品の試作開発を手がける。新たな柱として育てているのが医療機器分野だ。脳外科内視鏡手術用の精密鉗子(かんし)の製品化に続き、人工心臓のポンプ部品の開発、外科用手術器具のOEM(相手先ブランド)生産と、事業の裾野を広げている。鈴木社長に展望などを聞いた。

―医療機器分野への参入は、ハードルが高かったでしょうね。

「なかなかきっかけをつかめなかったが、脳神経外科の手術を受けた際に執刀医の先生からさまざまな困りごとを聞いて、鉗子の開発を決めた。実は私の手術動画も参考にして課題解決策などを探った。先端の直径は約2ミリメートルで、ハンドル部の動きに追従する。脳深部の脳腫瘍を摘出できる。2021年以降、国内外の展示会に出展し、高い評価を得た」

―出展を通じて事業の裾野が広がった。

「米メーカー2社から『これだけの技術力があるなら、この部品もつくれるだろう』と打診を受け、新規受注した。人工心臓のポンプ部品は、直径0・2ミリ×長さ1ミリメートルと微細で苦労したが、23年に納品し、現在はほかのポンプ部品を試作開発している。外科用手術器具は先端の形状が異なっており、約40種類ある。設備投資も検討し、軌道に乗せたい」

―医療機器開発では、金属積層造形装置(金属3Dプリンター)の適用にも取り組んでいますね。

「新しいモノづくりに挑戦することが差別化につながる。群馬積層造形プラットフォーム(GAM)に加盟して、ノウハウを蓄積しているところだ。GAMは初級から上級までのレベルに応じた教育プログラムを提供しており、これを活用している。6月に金属3Dプリンターを導入したので、研究開発を加速させる」

―技術者不足もあり育成の重要性が増しています。

「性別や国籍、キャリアを問わず、やる気を重視している。県立の産業技術専門校の先生にお願いし、オーダーメードのセミナーを開いてきた。三角関数などの基礎をはじめ、現場で求められることを試作品も教材にして学ばせる。コロナ禍で中断していたが、そろそろ再開させる」

(2024/8/28 12:00)

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