産業春秋／少子化・女性活躍、おじさんに言われたくない？

小学生の頃、８月末となると親から言われたのは「宿題したのか」。毎年のことなのだが、うるさいなと反発した。並べ立てるのは失礼だが、少子化対策や女性活躍という言葉に、当事者は反発を感じるという話を聞く。

女性に子どもを産んでほしい、もっと働いてほしい―。しかし、子を持つことは人それぞれに考え方がある。その上にバリバリ働くとなれば、負担は何倍にもなる。宿題みたいに「おじさんが上から目線で言うな」と言われそうだ。

国力が低下する人口減には歯止めをかけたい。だから女性に期待するのも、うなずける。政府・自治体は、不妊治療や第３子以上の子どもへの支援など、子どもを持ちたい人たちに焦点を当て、施策を充実している。企業も女性が働き続けられるようにさまざまな制度改革を行っている。

大切なことは、女性が抱くさまざまな価値観を社会全体で共有することだ。全ての女性が子を持ちたい、一線で働いて出世したいとはならない。

地域によっては小学校の夏休みも終わり、登校する子どもたちの姿を目にする。宿題を心配してくれた親のことを思い出す。時に反発したが、筆者自身も子を持ち、親子の日常には幸せを感じる派である。