産業春秋/自衛隊は憧れの職場になれるのか?

(2024/9/3 05:00)

自衛隊は憧れの職場になれるだろうか。防衛省は2025年度予算の概算要求で、過去最大となる8兆5389億円を求めた。その中で職業としての魅力を高めるための予算拡大を盛り込んでいる。自衛官の厳しい獲得状況が浮かぶ。

人材確保のため今春、多くの企業で大幅な賃上げが行われた。新入社員が配属や転勤などの条件を明確に求めることも珍しくなくなった。そうした中で自衛官を選んでもらうには、精神面で誇りを持ち、生活の安心も得られる魅力ある場にする必要がある。

採用時の取り組みでは、自衛官任用一時金を7年ぶりに増額し、自衛官候補生制度を見直す。新たな幹部任用制度を創設するほか、自衛隊奨学生の資金を増額。処遇面では、勤務の特殊性を踏まえた給与の見直し、営内居室の個室化なども進めるという。

ただ自衛隊では不祥事が相次ぐ。女性自衛官へのセクハラ、海上自衛官による潜水手当ての不正受給、特定秘密の違法運用などが表面化している。

一方、8月には中国軍機が長崎県沖で初めて領空侵犯するなど、東アジアの安全保障が脅かされている。日本は自衛力を高めて地域の秩序を保てるのか、概算要求が本質的な問いを投げかける。

(2024/9/3 05:00)

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